有害の六価クロム槽に落ちた猫、逃げる 広島県福山市「触らないで」
広島県福山市は、市内の金属めっき加工工場で、有害物質の六価クロムが含まれる液体の槽に猫が落ちて逃げたと11日発表した。六価クロムは、皮膚の炎症や呼吸器系の異常を引き起こす恐れがあるといい、猫に触れないよう住民に呼びかけている。
市によると、工場は同市柳津町3丁目の「野村鍍金(めっき) 福山工場」で、六価クロムが含まれるめっき液を、槽に入れて保管していた。11日午前7時ごろ、出勤した従業員が、槽の近くに猫とみられる足跡があるのを見つけた。防犯カメラを確認したところ、10日午後9時半ごろ、足跡を残しながら工場の外へ向かう猫が映っていた。
槽は縦2メートル、横2・2メートル、高さ3・4メートル。槽の上にシートをかぶせていたが、一部がめくれていた。槽には当時、めっき液が容量の7割程度入っていたという。
六価クロムは強酸性で発がん性があり、黄色や赤褐色をしているという。触れると皮膚がただれたり、吸い込むと呼吸器系の異常を引き起こしたりする恐れがある。同工場によると、従業員が作業する際はマスクやゴム手袋を着用しているという。
市環境保全課によると、猫は死んでいる可能性があるが、「異常の見られる猫を発見した場合は絶対に触らず、市や警察に連絡してほしい」と呼びかけている。12日午前11時半時点で、発見や健康被害の情報は入っていないという。(根本快)